2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680934
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小久保 正 京都大学, 工学研究科, 教授 (30027049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川下 将一 京都大学, 工学研究科, 助手 (70314234)
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Keywords | カルボキシ基 / アパタイト / 擬似体液 / キチン / ジェランガム / カードラン / 三次元構造 / 複合体 |
Research Abstract |
研究目的 骨は、有機高分子のコラーゲン繊維の上に無機物質のアパタイトの微結晶が析出し、これが三次元に巧みに編み上がった複合体である。従って、骨のコラーゲン繊維と同様の三次元構造に編み上げた有機高分子繊維表面に骨類似アパタイトを析出させた複合体は、骨と同様の骨結合性と力学的性質を示す骨修復材料として有用である。これ迄に、自己組織化単分子膜を用いた実験により、カルボキシ基がヒトの体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有する擬似体液(SBF)中でアパタイトの核形成を誘起する官能基の1つであると推定されてきた。本研究は、カルボキシ基を有する有機高分子がSBF中でその表面にアパタイトを形成する条件を追究することを目的とする。 研究成果 カルボキシ基を有するカルボキシメチル化(CM-)キチン、ジェランガム、及びカルボニル基を有するカードランゲルを作製し、それらゲルをそのままあるいは飽和水酸化カルシウム(Ca(OH)_2)水溶液に浸漬した後、ヒトの体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有する擬似体液(SBF、pH7.40)中に36.5℃で種々の期間浸漬した。SBF浸漬によるゲルの表面構造変化を、電界放出型走査電子顕微鏡、薄膜X線回折装置及びフーリエ変換赤外反射分光測定装置により調べた。さらに、ゲル浸漬に伴うSBF中のイオン濃度変化を、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置により調べた。その結果、カルボキシ基を有するCM-キチン、ジェランガム、及びカルボニル基を有するカードランゲルはそのままではSBF中でアパタイトを形成しなかったが、前2者のゲルは、あらかじめ飽和Ca(OH)_2水溶液に浸漬しておくと、SBF中でアパタイトを形成するようになった。一方、後者のゲルは、あらかじめ飽和Ca(OH)_2水溶液に浸漬しても、アパタイトを形成しなかった。前2者のゲルがアパタイトを形成したのは、カルボキシ基がアパタイトの核形成を誘起する一方、カルシウムイオンが周囲の液のアパタイトに対する過飽和度を高めアパタイトの核形成を促進したためと考えられる。これより、生体骨と類似した構造を有するアパタイト-有機高分子複合体を得る基礎的指針が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kokubo: "Ceramics for Biomedical Applications"Encyclopedia of Physical Science & Technology. 2. 615-619 (2002)
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[Publications] 川下将一: "骨修復用アパタイト-有機高分子複合体"Phosphorus Letter. 43. 15-19 (2002)