2001 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療への応用を目指したケラチンを基本材料とする生体適合性材料の研究
Project/Area Number |
13680950
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田辺 利住 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20315972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 亮 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80305614)
山内 清 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00047325)
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Keywords | 生体適合性材料 / ケラチン / キトサン / 細胞支持体 / 複合フィルム / 多孔性スポンジ / 抗菌性 / 再生医療 |
Research Abstract |
1.羊毛より抽出した還元型ケラチンをキトサンと混合し、ケラチン-キトサン複合フィルムを作製した。ケラチンフィルムは脆弱で取扱い困難であったが、10-30%のキトサンの混合により、強度,柔軟性に優れたフィルムとなった。ケラチンフィルムは塩基性水溶液中で高い膨潤度を示し、キトサンフィルムは中性以下のpHの水溶液中で激しく膨潤し、膨潤後乾燥するとフィルムの強度を失うが、複合フィルムにすることで、それぞれのpHで膨潤が抑制され、膨潤後再乾燥したフィルムでもその機械的強度が保持され、水環境で使用し易いフィルムとなった。さらに、複合フィルムで大腸菌を処理すると,フィルムへの吸着により大腸菌の減少が見られた。フィルムへの大腸菌の吸着は不可逆的であった。一方、動物細胞は複合フィルム上に吸着し良好に増殖を示した。以上のようにケラチンにキトサンを添加することで強度に優れ生態親和性も有するフィルムが作製できた。 2.羊毛由来還元型ケラチンの凍結乾燥によりケラチンスポンジ(円柱状;直径1cm,厚さ0.2mm)を作製し、スポンジ上でのマウス線維芽細胞の培養を試みた。凍結乾燥条件を検討した結果、-20℃,3日間の凍結条件で直径約100μmの均一な孔を有するスポンジが得られることがわかった。このスポンジにマウス線維芽細胞を播種したところ、播種後1時間で細胞の吸着が観察され、その後少なくとも7日間良好な増殖が観察された。(倍化時間:29.0時間)細胞の増殖は播種後23日にスポンジ表面が完全に細胞に覆われるまで続いた。さらに、43日目まで培養を続けたところ,細胞数はスポンジ当り420〜740万で一定であり、細胞の形態には全く変化が見られなかった。直径1cmの円表面の細胞数は同面積の培養ディツシュの37倍になり、ケラチンスポンジが長期の高密度培養の細胞支持体として優れていることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshizumi Tanabe: "Preparation and characterization of keratin-chitosan composite film"Biomaterials. 23・3. 817-825 (2002)
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[Publications] Akira Tachibana: "Fabrication of wool keratin sponge scaffolds for long-term cell cultivation"Journal of Biotechnology. 93・2. 165-170 (2002)