2002 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療への応用を目指したケラチンを基本材料とする生体適合性材料の研究
Project/Area Number |
13680950
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田辺 利住 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20315972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 亮 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80305614)
山内 清 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00047325)
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Keywords | ケラチン / 生体適合性材料 / 細胞接着性配列 / 細胞支持体 / 化学架橋 / 薄膜 / 再生医療 |
Research Abstract |
1.ケラチンはシステイン残基を豊富に含むことを特徴とする。我々は羊毛より抽出した還元型ケラチンのSH基を利用して、別途合成した細胞接着モチーフ、Arginine-Glycine-Asparatic acid-Serine (RGDS)によりケラチンを修飾した。RGDSモチーフはケラチンのアミノ酸1000残基当り60〜90個導入されていた。RGDSケラチン及び未修飾ケラチンによりガラス表面をコートし、その表面上でマウス線維芽細胞の培養を行い、細胞培養基質としての能力を比較した。細胞播種後1時間において、RGDS-ケラチンコート表面はケラチンコート表面やガラス表面の1.5〜2倍量の細胞の接着が認められた。また、RGDS-ケラチンコート表面への接着細胞数はコートしたタンパク量の増加と共に上昇した。初期細胞接着数を反映して、RGDS-ケラチン表面の細胞はケラチンやガラス表面よりも早くコンフルエントになることがわかった。以上の結果より、ケラチンはそのSH基を修飾することで高機能化できることが示された。 2.我々はこれまでケラチンにグリセロールを添加したり、キトサンと複合化することで透明かつ適度な強度をもった薄膜を作成することができた。しかしながら、水中で薄膜を使用するとグリセロールは溶出し、キトサンとの複合薄膜は激しく膨潤した。今回、ケラチンをジエポキシ化合物により架橋したところ、強度を有し、しかも水中での膨潤も抑制された薄膜が作成できた。この架橋ケラチン薄膜上で細胞培養を試みたところ、未修飾ケラチン薄膜と比較し、初期細胞接着が強く抑制されていた。しかしながら接着した細胞は増殖したことから架橋ケラチンは細胞毒性のない生体適合性材料であることがわかった。
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Research Products
(1 results)