2001 Fiscal Year Annual Research Report
自動車運転場面の視覚情報認知に対する聴覚情報の干渉効果
Project/Area Number |
13710033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神田 幸治 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (30288047)
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Keywords | 自動車運転 / 道路認知 / 聴覚情報 / 移動電話 / 再認パフォーマンス / 信号検出理論 / ワークロード / 分割的注意 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自動車運転時の危険及び重要事象(標識、信号、歩行者、駐車車両など)に対する再認パフォーマンスが、同時遂行される聴覚音声課題や道路状況によりいかなる影響を受けるかを調べ、その機制を明らかにすることである。自動車運転時の移動電話・ラジオや音声情報システム使用など音声情報負荷に関する先行研究では、従来これらの機器操作と運転パフォーマンスとの干渉問題に焦点が当てられていた。しかし近年では、会話時や意思決定時の干渉効果の重要性を指摘する研究が評価されつつある。また、運転時の対象認知と聴覚課題との関係まで深めた実証研究は僅かであり、都市道路や住宅道路など種々の道路状況における干渉効果の差異にも検討すべき点が多いことが、先行研究のレビューより明らかとなった。 以上をふまえ、本年度の実験では、被験者に自動車運転場面のビデオを注視中、同時に電話の会話をシミュレートした聴覚課題を遂行させた。その後、各事象の出現有無を問う二者択一質問紙に回答させた。再認パフォーマンスの指標として、信号検出理論に基づく感受性d'値が算出された。そして聴覚課題有無や道路場面状況によりd'値を始めとする各種変数がいかに変化するかを検討した。以下にはd'値に対する結果の概略のみ報告する。 実験結果より、再認課題より信号検出理論におけるd'値は、出現事象の少ない道路状況の方が出現事象の多い道路状況よりも有意に高かった。また聴覚課題と道路状況との交互作用が認められ道路状況事象少条件d'値は音声課題重畳により減少することが示された。d'値が認知指標であると仮定すると、運転場面の出現事象に対する認知レベルの判断は聴覚音声情報の同時処理により低下し、その効果は道路環境に依存することが結果から示唆される。すなわち、運転時の認知パフォーマンスは、比較的開けた道路環境においてこそ音声課題の影響を受けやすいと考えられる。
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Research Products
(1 results)