2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の精神的健康と「情報ボランティア」―生涯発達心理学的検討―
Project/Area Number |
13710060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
成田 健一 東京学芸大学, 教育学部・心理学科, 助教授 (10228091)
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Keywords | 情報ボランティア / 精神的健康 / 生涯発達 |
Research Abstract |
目的:本研究では,身体的には比較的「元気」な高齢者に精神的健康をもたらす要因の一つとして,高齢者自身が行う「ボランティア活動」-特に「情報ボランティア」-に注目する.「情報ボランティア」とは,作業的に「コンピュータ等の情報機器の操作,情報の伝達方法についての援助」と考えてみたい.本研究では実証的データに基づいて高齢者の「情報ボランティア」の実状をまず探る.そして,それに携わる人々の精神的健康の様相を,さらに「情報ボランティア」の交換可能性と精神的健康の関わりについて検討する. すなわち本研究では高齢者自身による「情報ボランティア」の問題を検討することを手がかりに,高齢者の精神的健康を保ち,増進していく可能性について生涯発達心理学的研究を進めるものである. 方法:調査対象者は,現在「情報ボランティア」を実際に行っている高齢者,および「情報ボランティア」の受け手である高齢者であった.手続きとして,原則的に面接調査を行った.質問紙に従った半構造化面接により,情報ボランティアの実態を探った.さらに,ボランティアの受け手でありかつ担い手である高齢者自身の精神的健康に関しても同時に調査を行った. 結果:「情報ボランティア」は他のボランティアよりも,比較的,目的や行うべき事が明確なボランティアで,結果がすぐに目に見えやすいという特徴がある.そのため,特に結果が明白である場合に,ボランティアの担い手はサポート提供の満足度が高まる傾向にあった.受け手の側も同様に,目的や結果が明確であるため,何かができるようになるに連れ,ボランティアに対する満足度が,上昇する傾向にあった.また受け手から担い手への移行も見られ,担い手の側の方が相対的に満足度や充実感が高い傾向にあった.ただし,全ての受け手が担い手になる訳ではない.また精神的健康にも大きな個人差が見られた.つまり,それらに個人的特性や所属するボランティア団体の特徴など様々な要因が関連している事が示唆された. 分析の詳細を含め,研究は現在も継続中である.
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