Research Abstract |
本研究の目的は,聾学校に在籍する中学部・高等部を対象とした手指メディアの運用能力を調査し,生育環境,言語運用能力との関連を比較検討するところにある.また,生徒のメディアの使い分け状況とメディアに対する満足度も併せて調査し,聾学校生徒のコミュニケーション使用状況を理解するための基礎的資料を得ていく. 平成13年度の研究実績としては,聾学校に在籍する中学部・高等部生徒を対象として,音声言語に伴う手指メディア(手話,キュー・サイン)の理解力に関する調査を実施した.結果としては,音声言語に伴う手指メディアの有効性が示唆された.しかし,本調査では,手話とキュー・サインの併用効果について,有意差がみられなかった.この研究に関しては,論文標題「聾学校中学部・高等部生徒の読唇に及ぼす手がかりの効果」(著者;岩田吉生・都築繁幸)として,学会誌『ろう教育科学』(ろう教育科学会)に投稿中である. また,同じく,聾学校の中学部,高等部生徒を対象として,メディアの使い分け状況とメディアに対する満足度に関する調査を行った.現在,データの結果をまとめた上で,生育環境,言語運用能力等との関連を比較検討しているところである.この研究内容の報告に関しては,平成14年度に行われる日本特殊教育学会で発表する他,聴覚障害研究の関連学会誌に投稿する予定である. この他,日本国内の聾学校における手指メディアの使用状況に関して,その実態を把握するために,学校の視察を行っている.平成14年度も継続して,出来るだけ多くの聾学校の視察を行い,中学部以降においてのみ音声言語の補助として手話が使用されている学校以外に,幼少期より手話が導入されている学校の現状を理解しながら,今後の聾学校における手指メディアの活用方法について検討していきたい.
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