抑制された否定的な感情の表出が心理的・身体的健康に及ぼす臨床的効果について

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13710067
• Research Institution: Shiga University of Medical Science
• Principal Investigator: 岩満 優美 滋賀医科大学, 医学部, 教務職員 (00303769)
• Keywords: 感情抑制 / 乳がん / 心理的苦痛 / 感情表出 / 心身の健康 / 心理的介入 / コーピング / 気分

Research Abstract

本年度は、昨年にひきつづき、特にがん患者を対象にデータを収集し、「否定的感情抑制傾向が心理的・身体的健康に与える影響について」調べた。なお、「感情抑制者に対する感情表出の促しの臨床的効果」についても検討するため、データを収集中である。
また、大学生を対象に基礎的データを収集し、感情抑制者の思考様式や精神的健康について調べた。
さらに、感情抑制傾向を測定する質問紙の日本語版を作成した。
以下、本年度の研究状況と活動状況について記載する。
(1)否定的感情抑制傾向の高い乳がん患者は、初診時の段階から心理的苦痛を強く感じており、その苦痛は診断確定後に頂点に達した。このような患者に対して心理的介入(心理的援助)をすることが望ましい。
(第43回日本心身医学会総会(5月);第10回日本乳癌学会総会(7月)で発表;"総合病院精神医学"に論文掲載;"Psychiatry and Clinical Neurosciences",in press)
(2)不安特性が高く、かつ感情抑制傾向が高い乳がん患者は、心理的苦痛を最も強く感じており、不安特性と感情抑制傾向は、がん診断後の心理的苦痛と関係があることが示唆された。
(第15回日本サイコオンコロジー学会(5月);第7回日本緩和医療学会総会(6月);XXV International Congress of Applied Psychology(July);第15回日本総合病院精神医学会総会(11月で発表)
(3)"Courtauld Emotional Control Scale"日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検討し、"精神科治療学"に投稿中。
上記のことを行うにあたり、在外研究員としてRoss Buck教授(Connecticut大学)を訪問し、約2ヶ月滞在し、健康とコミュニケーションの関係についての知識を得た。

Research Products

• [Publications] 岩満優美 他: "乳がん患者における否定的な感情抑制傾向と診断告知後の心理的苦痛との関係"総合病院精神医学. 14(1). 9-16 (2002)
• [Publications] Yumi Iwamitsu, et al.: "Differences in emotional distress between breast tumor patients with emotional inhibition and those with emotional expression"Psychiatry and Clinical Neuroscience. 57. 289-294 (2003)