Research Abstract |
平成13年度は,「保育者が行う,多動傾向のある幼稚園や保育園の幼児のための介入プログラム」を構成すること。ついで,このプログラムを試行することが予定されていた。そこで,まず,Barkleyによる介入プログラム,Webster-StrattonのIncredible Years,山上らのHISTなど参考にして,本邦での幼児期の子どもを持つ親のための親トレーニングの個別プログラムを構成した。 さらに,保育現場から要請のあった事例を検討した結果,症例の幅が非常に広いことがわかったので,本年度は,多動傾向と攻撃行動が中心的にあらわれている症例に絞って,1幼稚園2名,1保育所1名の事例について,1,プレ評定と概要,2,望ましい行動の形成-基本編,3,不適切な行動の消去-基本編,4,望ましい行動の形成-応用編,5,不適切な行動の消去-応用編,6,適切な制限を設けること,7,子どもの問題解決と遊び,8,母親のストレスマネジメント,9,症例に特化した対処(2〜3回行われることもある),10,総復習とポスト評定などからなる親トレーニングの個別的介入を行った。このうち1事例は,保育者(保育者から子どもへの介入)と専門家(専門家から親トレーニングを介しての介入)による同時的な治療的介入を行ったものであり,その方法の有効性が見いだされた。そこで,この同時的介入という新しい観点については別に紀要論文としてまとめた。今後は,保育者のみではなく,保育者と専門家による同時的介入の観点を重視しつつ行うことになる。 平成14年度は,個別事例の介入を継続しながら,計画にある集団的介入を試みることになる。なお,集団的介入のための介入プログラムは,個別事例のプログラムを一部予防的なものに書き換え,PowerPointとビデオをベースとしたプレゼンテーション,配付資料等の作成を本年度中に終えた。
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