2001 Fiscal Year Annual Research Report
戦前・戦後改革期日本のカリキュラム改造論に関する研究
Project/Area Number |
13710142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
冨士原 紀絵 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (10323130)
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Keywords | 及川平治 / カリキュラム改造 / コア・カリキュラム / 教科 / 明石女子師範学校附属小学校 / 教育研究所 |
Research Abstract |
本年度は、主に以下の二つの観点から研究を進めた。 (1)既に研究に着手している1920-30年代日本におけるカリキュラム改造の試みについて、当時の実践面・理論面での嚆矢であった及川平治の指導下にあった明石女子師範学校附属小学校と仙台市教育研究所に関する資料収集と分析とを行った。その際、仙台市教育研究所の実態はこれまでその詳細が明らかにされてこなかったことから、本年度はその実態解明に重点を置いた。その結果、及川が研究所設立構想の段階から深く関与していたこと、そして当時日本に数多く設置されていた児童研究所とその性格を異にし、学校教育に関するあらゆる課題を網羅すべく設立された、公(市)設としては我が国初の総合的教育研究所であったことが明らかになった。現在は、こうした及川の実践とその基盤となった彼のカリキュラム理論の分析検討の成果を博士論文として執筆中である。 (2)戦後秋田県のコア・カリキュラムに関する資料の保存状況を把握するとともに、一部収集を行った。その結果、秋田の過疎化に伴う学校統廃合やそれに伴う学校新築事業等の過程で戦前・戦後の多くの文書資料が紛失しており、コア・カリキュラムの資料収集は極めて困難であることが明らかになった。ただし、一部の中学校には僅かではあるが良好な状態で資料が保存されていた。学習指導の基盤が「教科」である中学校でコア・カリキュラム実践の蓄積は小学校と比較すると明らかに希有である。これまで東北地方のコア・カリキュラム実践は殆ど注目されておらず、しかも新制中学校での取り組みが研究の俎上に上ったことはない。そこで(1)の研究と平行しながら、戦前のカリキュラム改造の試みの戦後への継承の有無と、それらの戦後秋田の新制中学校のコア・カリキュラムヘの影響関係を分析中である。
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