2002 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアの自律的学校経営におけるアカウンタビリティー確保に関する研究
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13710143
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 博志 長崎大学, アドミッションセンター, 講師 (80323228)
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Keywords | オーストラリア / 自律的学校経営 / アカウンタビリティー / 教育改革 |
Research Abstract |
本年度は、オーストラリア・ビクトリア州の公立学校改革におけるアカウンタビリティー確保のメカニズムを,市場の抑制と契約の導入という視点から解明した。 オーストラリア・ビクトリア州では,市場を抑制し,契約を導入することによって公立学校改革を進めた。チャーターは,校長,父母,教育行政代表の三者の同意・署名という契約的行為によって有効になる。問題は,チャーターの実施を担保し,アカウンタビリティーをどのように確保するかであった。ここで採用されたのが,チェック&バランスの原理である。チェック&バランスの関係は,基本的に次の二つの観点から成立している。 第一に,学校がチャーターを実施して得られた経営成果は,父母と教育省が関与する学校評価の対象となる。つまり契約履行に相当するチャーター実施それ自体は学校の裁量であるが,その成果は父母と教育省が関与する評価の対象となっている。 第二に,チャーター実施の実績,つまり経営成果が,校長の採用・任期更新に影響している。学校は校長を公募し,学校審議会代表,父母代表,教育省代表,他校の校長を構成員とする推薦会議が応募者の中から一人を推薦する。そして,推薦された応募者は教育省との最長5年間の雇用契約を結んで採用される。校長採用・任期更新にあたってチャーターの実施の力量,成果責任,説明責任が問われる。 このように、学校,父母,教育省の三者が立場の違いを越えてチェック&バランスの関係を形成できた時,自律的学校経営のアカウンタビリティーが確保されるメカニズムになっている。 これらの研究成果は,報告書『オーストラリアの自律的学校経営におけるアカウンタビリティー確保に関する研究』としてまとめた。
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Research Products
(2 results)