2001 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半米国の知的障害者施設地域生活支援サービスセンター化試行とその失敗
Project/Area Number |
13710144
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
米田 宏樹 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (50292462)
|
Keywords | 「精神薄弱」者施設 / コミュニティ / サービスセンター / 公立学校特殊学級 / 処遇の場 |
Research Abstract |
本年度の作業の主眼は,日本国内および米国での資料調査におかれた。 その結果,20世紀前半以降の精神薄弱者観ならびに社会施策の形成に大きな影響を持ったニュージャージー州バインランド・トレーニングスクールの年報をはじめとして,ウィスコンシン州立施設,ミネソタ州立施設の年報をほぼ収集できた。また,特殊学級関連の資料についても,断片的にではあるが,入手することができた。 これらの新たな資料とマサチューセッツ州立施設の年報を概観することで,以下の素描を仮説的に描いた。 ・公立学校内特殊学級の成立が,コミュニティにおける精神薄弱者の存在を明確なものとし,精神薄弱者を隔離処遇下で教育し保護するという従来からの施設の役割を揺るがすことになった。 ・学齢期の精神薄弱児は教育的処遇のケースとして施設でも受け入れられていたが,特殊学級から,学齢を過ぎた生徒が施設へと回ってくることになり,14歳から16歳の新規入所者の割合が高くなった。 ・公立学校に就学後,精神薄弱と診断されるケースは,比較的知的能力が高く,一般就労の可能性が高かった。 ・施設は,能力の低い精神薄弱者の保護と能力の高い精神薄弱者へのリハビリテーション・サービス(教育も含む)という2極化した役割を担う。 ・そして,後者のサービスの一環として,特殊学級教員への訓練プログラムの提供,コミュニティにおける監督者の派遣あるいは養成,コミュニティへの知識の提供を行った。 今後は,仮説的に描いた上記の点を,資料の文章記述の分析と統計資料の整理・分析を詳細に行うことによって,検証していく。
|