Research Abstract |
本研究では学習障害児(以下LD児)の対人関係能力、他者の心の理解の能力、認知心理学検査結果(WISC-III知能診断検査やK-ABC教育心理アセスメントバッテリー)の3点の関連を明らかにすることを目的とする。平成13年度は(1)対象となる学習障害児の評価,(2)対人関係能力および他者の心の理解の能力の評価方法の決定,(3)他者の心の理解の能力の健常児データの収集を行った。PRS, K-ABC認知心理学検査,WISC-III,京都府学習障害児に対する指導体制の充実事業で用いられている,第二次スクリーニングチェック用紙(聞く,話す,読む,書く,計算する,推論するの6領域),家族との面接に基づき,24名を学習障害児であるか否かの判断を行った。この際,教師,作業療法士,心理士の複数職種3名以上で判定を行った。結果21名を学習障害児と判断した。対人関係に関するアンケート作成に関しては,現在,既存の検査を集め作成し,予備調査を行い,より信頼性,妥当性の高いものを作成中である。他者理解に関する検査は健常児を対象に嘘,比比喩,罪のない嘘,冗談,皮肉の5つのテーマを個別で紙芝居により見せデータの収集を行った。対象は小学1年〜3年(各学年20名ずつ)で各テーマとも年齢に伴い正答率が有意に上がる結果となった。次年度の課題として,(1)対人関係に関するアンケート用紙を完成させ,対象児(学習障害)に行う,(2)他者理解に関する健常児の年齢幅,データを増やし,健常児の発達を確認するとともに,学習障害児にも行う,(3)対象児、(学習障害児)のデータを40名以上に増やすことが課題となる。このデータをもとに本研究のテーマである学習障害児における対人関係能力を心の理解と認知心理学検査との関連から分析する。さらに,学習障害児のタイプ(聞く,話す,読む,書く,計算する,推論する)により,対人関係能力や心の理解に違いがあるか否かも統計的に検討していきたいと考えている。
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