Research Abstract |
平成13年度においてはまず,中国において近年用いられている「粗就学率」の考え方に沿って,国が承認する高等教育修了学歴の取得ルートについて整理をおこなった。その結果,申請時に想定していた3つのルート(普通高等教育機関,成人高等教育機関,高等教育独学試験制度)以外に,さらに3つのルートが存在することが確認された。また,「粗就学率」には大学院生も含まれていることから,水平方向に存在しているこれら6つのルート以外に,垂直方向の視点,すなわち専科教育課程,本科教育課程,大学院課程(碩士学位課程,博士学位課程)も取り入れることにした。 これをふまえて,主として以下の2点の分析をおこなった。第1は,高等教育システムの拡大における普通高等教育機関の役割である。普通高等教育機関が,それ自身が拡大して高等教育学歴修了取得ルートを広げると同時に,高等教育システムを構成する他の部分に関わることによって,高等教育システム全体の拡大,つまり高等教育修了学歴を取得する多様なルートの導入及びその拡大に関して直接的・間接的に寄与してきたことが明らかとなった。第2に,中国における大学院教育の制度化及びその特徴である。従来わが国では中国の大学院教育に関する研究がまったく立ち後れていた。そこで,基本的な制度化の過程,拡大の状況,管理運営や,入学・カリキュラム・卒業後の進路といったプロセス,そして大学院教育と密接な関連をもつ学位制度について,できるだけ最新の情報を盛り込みながら整理した。この他,高等教育修了学歴取得ルートのうち,成人高等教育機関,軍事高等教育機関,広播電視大学登録視聴生制度等についても,国内外の機関において資料の収集をおこなった。
|