2002 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの大学における評議会の学外構成員に関する研究
Project/Area Number |
13710166
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
服部 憲児 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (10274135)
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Keywords | 大学 / 評議会 / 学外者参加 / フランス |
Research Abstract |
フランスにおいては、1968年に大学の管理運営に学外者を参加させることが法的に明確に定められた。それは、大学の社会への開放を目的とするととに、学生の就職等における効果も期待するものであった。1984年の法改正でいくらかの変更はあったものの、現在でも大学の3つの評議会に一定の割合の学外構成員を含まなければならない。 評議会に占める学外構成員の割合は法律(高等教育基本法)で定められており、管理評議会で20〜30%、学術評議会で10〜30%、教務・大学生活評議会で10〜15%となっているが、各大学の配分状況をみると、多くの大学で下限もしくはそれに近い割合に抑えられている。学外構成員の属性は、地方公共団体、経済界、労働者団体、専門職団体、学術文化団体、研究機関、教育関係団体等の関係者であるが、いずれの評議会においても地方公共団体関係者、経済界関係者の割合が高くなっており、大学がこれらとの結びつきを重視していることが分かる。選定に関しては、大学の内規で例えば「○○市代表1名」という具合に定められており、その人物の持つ人格や知的財産といった人間性に関する事柄よりも、むしろ肩書きに対して議席が割り当てられている。 これら学外構成員は(1)積極的な者、(2)無関心な者(会議の欠席が多い、出席してもいわゆる「イエスマン」である)、(3)部分的に積極的な者(自分が代表している機関・団体に関係する事柄にのみ積極的)の3パターンに分類されることが、文献調査・インタビュー調査で明らかになった。学外構成員は大学の管理運営全般に対して貢献しているとは言えないが、利害関係がある部分については有効に機能している事例も多い。フランスの大学では学外構成員の貢献が部分的であること、評議会において少数派であることにより、社会とのつながりを持ちつつも、大学の自治を危惧するまでに至っていない。
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Research Products
(1 results)