2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森下 徹 山口大学, 教育学部, 助教授 (90263748)
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Keywords | 上方抱下者 / 対馬 / 仲仕 / 大坂 / 都市下層社会 / 労働市場 |
Research Abstract |
(1)本年度は、史料収集を中心に行った。主な収集先は、(1)大阪商業大学・大阪市立図書館等に架蔵されている近世大坂の経済史関係史料、(2)岡山大学池田家文庫より岡山藩域の史料、(3)対馬宗家文書、などである。 (2)そのなかで、大坂から瀬戸内海を経て対馬に向かう上方抱え下し者関係の史料をまとめて収集することができた。瀬戸内海が大坂と九州地区とを媒介する動脈の役割を果たしていたことが労働力の移動を通しても確認でき、とくに大坂の都市下層社会を遠隔地の労働市場と結びつけていたことは注目される。従来これは近世初頭の問題として捉えられてきたが、少なくとも18世紀半ばまで広汎に存在が確認できるのである。 (3)またそうした移動の核となるのは、近世にあってはやはり大坂だった。その意味で大坂の都市下層社会の分析も不可欠な課題として浮上してきた。当面は日用存在としての仲仕の史料を収集しつつある。 (4)こうして1年間の史料収集活動のなかから、近世の「遍歴職人」を分析するうええで、あれこれの事例を並べ立てるだけではなく、一定の視角を持つことの重要性が次第に浮き彫りになってきた。それは第一に瀬戸内海だけで完結するのではなく、大坂を核に九州地方まで含んだ、西日本一帯の問題として構造的に把握する必要、第二に職人だけにとどまらないで、日用存在も含めて意味づけを考察すべきこと、この2点であり、こうした観点から14年度は分析を進めてゆきたい。
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Research Products
(2 results)