2001 Fiscal Year Annual Research Report
徽州文書を主たる史料とする明清中国の社会結合と村落構造に関する研究
Project/Area Number |
13710213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 楽章 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (10332850)
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Keywords | 徽州文書 / 宗族 / 村落構造 / 社会結合 / 紛争処理 / 郷村統治 / 社制 / 族譜 |
Research Abstract |
本年度は当該の研究課題に関し、日本および中国において一連の史料調査・学会報告・成果の出版等を行った。まず国内においては、元代の郷村統治制度を法制史料の通時的検討によって網羅的に考察した論文「元代社制の成立と展開」を発表した。さらに博士論文の出版準備を進め、全体にわたり大幅な増補改訂を加えた上で、専著『明代郷村の紛争と秩序-徽州文書を主たる史料として-』を出版した。あわせて同書の研究成果のうえに研究の進展を図り、日本国内では、東洋文庫・東洋文化研究所など、東京・大阪・京都等にしばしば出張し、史料・文献などの調査収集を続けるとともに、東洋文化研究所契約文書研究会等の研究会において、成果の報告を行った。さらに各地の研究者との交流を進め、広島大学東洋史専修とは、定期的に中国近世社会史に関する合同研究会を行っている。 また2001年8月から9月にかけては、中国に渡航し、福建省武夷山市で開催された国際明史学会において、明末福建山間部における地方行政と地域社会に関して報告を行った。あわせて徽州(現黄山市)の歙県・〓県などで農村調査に参加し、当地の宗族・村落などの概況について考察した。さらにそ江省上虞県においても同姓村落に関する簡略な聞き取りを行っている。同時に上海図書館・上虞県そ案館・中国人民大学図書館などの期間において、史料調査・収集にも従事し、中国社会科学院などの機関を訪問して学術交流を行った。 11月には、東京大学における史学会大会において、浙江省上虞県における調査の成果をうけて、明末に九州に渡来した人物の系譜とその社会的性格を族譜史料と碑文史料によって検討した報告「日向飲飫肥の明人、徐之〓の系譜」を発表した。以上の研究活動を通じて、徽州山間部における宗族・村落・社会結合などの問題を中心に、明末期を中心として、浙江・福建などの主として山間地域の地方行政・地域社会・宗族・社会変動などに関する考察を進めており、来年度はその成果を逐次発表してゆきたいと考えている
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Research Products
(2 results)