2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
宮宅 潔 神戸女子大学, 文学部, 専任講師 (80333219)
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Keywords | 中国古代 / 裁判制度 |
Research Abstract |
今年度は中国古代の裁判制度のうち、特にそれが開始するきっかけとなる「告」「劾」の制度に注目し、出土文字史料を活用しながらその実態を再検討した。その成果は『神女大史学』誌上に「「劾」小考-中国古代裁判制度の展開-」との題目で発表した。以下にその要旨を示す。 中国古代の「裁判」の発端となるのは、主として「告」「劾」と呼ばれる手続きである。「告」は民による告発と理解されており、それで間違いないが、一方の「劾」についてはその定義からして一定せず、論者によってその位置づけが異なっている。そこでまずは「劾」が具体的に如何なる手続きであるのか、実例について検討した。その結果、これは官による告発というべきもので、これを承けて本格的な取り調べ-獄に身柄を拘束したうえでの厳しい詮議-が始められる、という手続きの流れが明らかとなった。こうした理解の上に立って、「劾」なる手続きが一体何時から行われるようになったのかを追跡してみたところ、諸説あるものの、やはり戦国時代から見られるようになっていることが分かった。官による告発である「劾」は、いわば国家の裁判権が既存の共同体のなかに切り込んでゆく行為である。従ってそれが成立するためには君主権の強化、君主の手足となる官僚の配備等が必要な前提条件となる。「劾」が戦国時代になって登場するのは決して偶然のことではなく、その登場は君主専権と官僚機構の整備が一定の段階に到達したことを告げるものである。 こうした成果を得るための作業を今年度の前半は進め、補助金はそのために必要な書籍その他の購入費に充当した。後半には出土文字史料の多角的な検討を進めるための作業に着手し、次年度の夏期に訪中して木簡現物の観察や出土した遺跡の考査を行う予定である。
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Research Products
(1 results)