2001 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス名誉革命体制下における中央-地方関係の研究
Project/Area Number |
13710218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 貴彦 北海道大学, 文学研究科, 助教授 (70291226)
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Keywords | アソシエーション / 福祉国家 |
Research Abstract |
2001年度は、本研究の主題となる18世紀末にロンドンに設立されたヴォランタリー・アソシエーションである「貧民状態改善協会」に関して、主にそれを福祉に関するナショナル・センターとしての側面から分析することに主眼をおいた。第一に、「協会」の発行した「報告集」の分析を通じて活動の概要を把握した。第二に、協会の設立・運営において中心的な役割を果たしたウィリアム・ウィルバフォースに焦点を当て、彼の日記や書簡を検討することでロンドンにおける「協会」の運営の実態を明らかにすることを試みた。第三に、日常的な活動の他に、議会における立法活動を支援するロビー活動を行っていた。この典型的な事例は、1802年の工場法の成立過程であった。別名ピール工場法とも呼ばれるこの法案は、「協会」の会員でもあるロバート・ピールが、協会の緊密な連絡をとりながら成立に漕ぎ着けた法案であるが、審議の過程での協会の影響について大英図書館所蔵のピール文書を手がかりに検討した。これらの史料調査のために、2001年7月から8月にかけてロンドンの大英図書館、およびオクスフォード大学ボードリアン図書館を中心に史料調査を行った。大英図書館では、ウィリアム・ウィルバフォース関連の史料を閲覧したが、その量が予想した以上に膨大であることを発見した。ボードリアン図書館では、同じくウィルバフォース関連の史料を閲覧したが、こちらは主に奴隷貿易廃止運動に関連する史料が圧倒的な割合を占めて、目的とする「貧民の状態改善協会」に関する史料は少なかったように思える。史料調査に関しては、大英図書館を中心として残された課題は多いといえよう。
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