2001 Fiscal Year Annual Research Report
中世ジェノヴァ商人の黒海におけるネットワークの解明
Project/Area Number |
13710227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
亀長 洋子 高千穂大学, 教養部, 助教授 (40317657)
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Keywords | 中世史 / 商人 / ネットワーク / イタリア / ジェノヴァ / 地中海 / 黒海 / 植民 |
Research Abstract |
本年度は、研究初年度であるゆえ、まず中世ジェノヴァ人の黒海進出における全体的な研究動向や事実関係の把握に研究の焦点をあてた。黒海周辺領域のジェノヴァ人拠点について、コンスル(代官)等の官吏の派遣、その地での商取引、ジェノヴァ風の区画建設、防衛施設の痕跡等により進出の程度の違いがみられることがわかった。当初、ジェノヴァ人の黒海周辺領域における三大拠点であるペラ、カッファ、キオスのうち、マオーナ(植民団体)既に日本でもその特殊性がしられているキオスについては、別途検討しようと考えていたが、同時にキオスにはペラやカッファと同様、ジェノヴァ政府による行政組織が施行されていたことがわかり、三拠点の比較的検討が、ジェノヴァからの行政官派遣のネットワーク解明の点でも必要と考えられる。また、史料分析として、1414年のCaffa Massaria史料(会計史料)やロマニア局行政記録、そのほか公証人文書の分析に着手し始めている。Massaria史料からは、カッファ他いくつかの拠点の行政府に把握された人々が掌握できる。ロマニア局行政記録は具体的な案件の処理について言及している。両史料を照合しつつ、行政システムを利用しつつ現地でのネットワークを拡大するジェノヴァ商人像を追求できそうである。いくつか残存する公証人文書は、分析対象となる時期の焦点が定めにくいが、いくつかの個別商人に軸をあてて、その広域的ネットワークの展開を類型的に検討する可能性があると考えられる。
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