2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
石橋 茂登 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 研究員 (90311216)
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Keywords | 銅鐸 / 弥生時代 / 地域間関係 |
Research Abstract |
本研究では、計画に則りまず基礎的なデータ収集をおこなった。収集すべきものは土器や集落に関する考古学的な情報だけでなく、現在および古代における地形や水系など多岐にわたるが、目下とくに銅鐸に関する資料を収集・整理している途中である。データは銅鐸そのものの法量や先行研究による分類、出土状況の記述、関連する論文および書籍などを中心としている。それらのうち重要なまたは基礎的な事項については電算処理できるよう入力をおこない、コンピュータを活用してデータベースを構築しつつあり、正確な統計処理や能率的な検索などの基盤とするものである。このようにして収集した資料を精査したところ、補助金交付決定が遅かったため十分な成果はいまだ上がっていないが、多くの文献で記載事実に齟齬があり、明らかな誤りや古いデータが用いられている例が無視できない程度の量存在することが判明した。出土地点の特定においても不正確なものが複数あり、遺跡地図にも誤りがあり、銅鐸出土年月日や出土の経緯も同様である。地図上にプロットして分布などの分析を行う前段階として、情報の批判的検討が重要であることが明らかとなった。また出土地不明、あるいは出土記録のみ存在して銅鐸そのものが行方不明となっている銅鐸について、その出土地を比定する研究がこれまで多くある。しかし現在否定されている旧説がいまだに概説書などで採用されているケースも散見され、型式学的分類と分布状況の交差的検討をおこなう本研究にとっては、出土地比定そのものの検討も重要な課題であることが認識された。 このように、本年度の研究では相当量の資料を収集し、その検討を行ったことで、次年度における研究の進行に一定の見通しを得ることができた。
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