2001 Fiscal Year Annual Research Report
英語・日本語における到着点を表わす前(後)置詞を伴う動作動詞の第二言語習得研究
Project/Area Number |
13710310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
稲垣 俊史 大阪府立大学, 総合科学部・言語センター, 講師 (00316019)
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Keywords | 第二言語習得 / 母語の影響 / 学習可能性 / 英語 / 日本語 / 動作動詞 / 前置詞 / 後置詞 |
Research Abstract |
どの母語を持つ学習者が、どの第二言語のどの文法特性を学習する場合に、母語が良い影響を与えるのか、または悪い影響を与えるのか?という問いに答えるため、英語、日本語の「場所または到着点を表わす前(後)置詞を伴う動作動詞」の第二言語習得を調査した。約80名の日本語を母語とする英語学習者と、約50名の英語を母語とする日本語学習者を調査した結果、以下のことが明らかになった。 1.日本語母語話者は、英語では動き方を表わす動詞に前置詞句が伴った構文(例John swam under the bridge)において、前置詞句の解釈には二通りあり、動作の「場所」という解釈だけではなく、動作の「到着点」とも解釈できるという文法特性を習得できていない。 2.英語母語話者は、日本語では動き方を表わす動詞に後置詞句が伴った構文(例ジョンは橋の下で泳いだ)において、後置詞句は動作の「場所」としか解釈できず、動作の「到着点」とは解釈できなという文法特性を習得できている。 この結果は日本語と英語の「場所または到着点を表わす前(後)置詞を伴う動作動詞」の対照分析と学習可能性理論から説明できる。つまり、1については、日本語に存在しない英語の文法特性に対する肯定的証拠が不明瞭なため、習得できないと考えられる。2については、英語と違って日本語では動作の「到着点」としての解釈が不可能であることを示す、間接的な肯定的証拠が存在するため、習得できると考えられる。文法特性を一定にした上で、日本語母語話者による英語習得、英語母語話者による日本語習得という二方向から調査し、その結果を理論的に説明できたことは、第二言語習得における母語の影響の解明に少なからず貢献すると言えよう。
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Research Products
(1 results)