2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13720002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 健太郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (20242068)
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Keywords | 財産 / 契約 / 伝統中国 / 社会構造 |
Research Abstract |
二年間の研究計画の一年目にあたる本年度は、資料収集と基礎的な分析を主たる課題としていた。資料収集については、中国・英国でこれを行うことができている。中国においては、吉林省長春市の満鉄資料館・吉林省档案館等を訪れる機会があり、本研究の主題である伝統中国的土地保有・取引秩序研究にとって最も重要な基礎資料群の一つである『中国農村慣行調査』作成に関与した旧南満州鉄道株式会社北支経済調査所の関連資料を閲覧することが出来た。英国においては、オクスフォード大学Rhodes Houseにおいて、香港関連の幾つかのPrivate Papersを閲覧している。 基礎的な分析としては、東京大学法学部で担当する「東洋法制史」講義中の土地法部分の準備過程において、清代中期档案資料に見られる「管業」概念に関するいくつかの知見をまとめるに至った。このため、次年度に計画している論文執筆へ向けての作業の内の一部を、前倒しで行うこととなった。そしてこの問題について、オクスフォード大学David Faure博士及び香港王立アジア学会会長Patrick Hase博士と、日英両国において集中的な討論を行うことが出来た。 また、これまでの研究で用いてきた「伝統中国」というカテゴリーについて批判的に再検討する必要を見出し、この語が含意する先秦〜清代に至る時代における体制の「型」の不変について、この「型」の成立時期及びこの語が使われるに至った近現代日本における中国史学界の論争過程の両面から、史学史的(historiographical)な検討を行った。その作業過程の一部は、『国家学界雑誌』115巻1・2号に寄せた「学界展望」に現れている。
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