2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13720024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 美加 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (70292810)
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Keywords | 商業使用人 / 包括的代理権 / 取締役会 / 執行役員 / 経営管理契約 / 権限委譲 |
Research Abstract |
株式会社における権限委譲の分析の手掛かりなる概念として、まず代理権の側面から分析を始めた。すなわち商法総則中の「商業使用人」規定の分析である。その結果、対外的に包括的権限を付与する権限授与行為の側面こそ、本来の商業使用人制度の存在意義であり、現に外務的権限が存在したか否かを裁判で争う場合には、後付的公平性の観点の方を多用するため、表見法理と限りなく接近していることが指摘できた。以上を中間的結論としつつ、次に権限委譲と会社法との関係を模索した。特にドイツで問題となっている場面を分析し、第三者に経営を任せる経営管理契約の場合と、特に事業部制化にともなって組織構造を変化させる場合とを取り上げ、それぞれの場合につき、取締役会のもとにある業務執行権をどの程度他人に委譲してよいか、法定される権限との関係を考えた。その過程で、取締役会の機能として、会社の機関、特に株主総会との関係という視点と、取締役会の会議体・合議制としての視点を区別する必要性を指摘した。そして研究をとりわけ前者の視点から行うこととした。この点は現在も継続中であるが、あるべき会社の形を押しつける形ではなく、ありうべき選択肢の範囲を呈示することを課題としたい。 研究の実施は、主として文献・資料購読とその分析を通じて行ったが、経済学の研究者の助力を得て、企業の境界と法の役割について研究する機会を得た。また、2度ほどではあるが上場企業の経営担当者にインタビューする機会にも恵まれた。
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Research Products
(2 results)