2001 Fiscal Year Annual Research Report
「各種ビジネス・オーガナイゼーションとその法-日米比較を中心として-」
Project/Area Number |
13720025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新堂 明子 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00301862)
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Keywords | アメリカ信託法 / プルーデント・インベスター・ルール / ファイナンス理論 / 分散可能リスク / 分散不能リスク / 分散投資義務 / 受託者の責任 |
Research Abstract |
本研究は、日米のビジネス・オーガナイゼーションとその法を考察することが主眼となるが、平成13年度は、その基礎的前提知識として、ファイナンス理論の習熟に努めた。それは、1.金融資産をリスクとリターンに分解し、計量化することを試みる。2.リスクには、分散可能リスクと分散不能リスクがあり、分散可能リスクとは、複数の金融資産に分散投資すれば負担せずにすむ、特定の金融資産特有のリスクであり、分散不能リスクとは、分散投資しても負担しなければならない、経済全体に影響を与えるような規模の危険に曝されるリスクである。3.分散不能リスクとリターンの間には、より多くの分散不能リスクをとれば、より多くのリターンを期待できる、という関係があるとする理論である。 アメリカ信託法においては、上記のファイナンス理論の成果を受け、信託における受託者の責任につき、1990年代にプルーデント・インベスター・ルールが構築された。Restatement(Third)of Trusts : Prudent Investor Rule(American Law Institute, 1990)と、Uniform Prudent Investor Act(National Conference of Commissioners on Uniform State Laws, 1994)である。その内容は、ビジネス・オーガナイゼーションの一種である信託において、受託者が信託財産を投資運用する際の責任を規定したものであり、1.分散可能リスクにつき、受託者に分散投資義務を定め、2.分散不能リスクをどのくらいとり、リターンをどのくらい期待するかに関する判断につき、受託者に広範な裁量権を与えるものである。以上のアメリカ信託法におけるプルーデント・インベスター・ルールの分析を試みたものが、下記の研究発表である。 新堂明子「アメリカ信託法におけるプルーデント・インベスター・ルールについて-受託者が信託財産を投資する際の責任規定-」北大法学論集52巻5号1830-1776頁(2001年)。
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Research Products
(1 results)