2001 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ法における訴訟上の秘匿特権(Privileges)の研究
Project/Area Number |
13720035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠井 正俊 京都大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90283580)
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Keywords | 秘匿特権 / 弁護士 / 最高裁判所規則 |
Research Abstract |
平成13年度には,アメリカの連邦法及び州法における弁護士・依頼者間の情報及び弁護士の職務上の記録の秘匿特権に関する歴史及び判例の動向の概要について研究した。 その際,一般的な体系書,実務家向けの詳細な手引書等の書籍を読んで基本的な知識を得るとともに,コンピューター検索システムを利用して判例の調査・分析を行い,判例法の展開の概要を把握した。 また,連邦証拠規則(最高裁判所規則)の制定時に,判例法を下敷きにして,秘匿特権について具体的な諸規定を置くことが検討され,規則案が作成されたが,これに対する異論が強かったため,議会で修正され,一般的規定が1か条置かれるだけとなった。その経緯及び理由について調査を行うとともに,規則案のままに終わった当該諸規定の内容について研究し,それらが同規則制定後の判例の内容にどのような影響を及ぼしているのかを検討した。 さらに,秘匿特権と関連する事項であって,我が国にとっても示唆的な次の問題についても調査,分析を行った。すなわち,アメリカの倒産手続においては,DIP(debtor in possession,占有を継続する債務者)が手続の主体となることが通常であるが,当該債務者とその代理人弁護士との間に流通した情報や,当該弁護士の職務上の記録は,倒産手続上,債権者との関係でどの程度開示すべきなのか,開示することが許されるのかという問題である。上記の秘匿特権の問題であるとともに,債務者の忠実義務ないし誠実義務に関係し,我が国での民事再生法上の債務者代理人の義務の在り方を考える際にも示唆的である。
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