2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13720036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 孝治 大阪大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00263187)
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Keywords | 保険 / 損害保険 / 生命保険 / 金融サービス / 金融商品販売法 |
Research Abstract |
わが国の金融サービス法構想は、金融システム改革法、金融商品販売法、投資信託法などの一連の立法によりひとまず実現されたと言えるが、横断的規制を実現する中で保険の位置づけが問題となるのは金融商品販売法である。同法においては、金融商品の投資性には直接言及せず、キャツシュフローの組み替え、リスクの移転を金融商品のメルクマールに挙げることにより、保険を金融商品に含めている。しかし、このメルクマールでは、変動金利型ローン.保証や損失填補契約を除外しつつ損害保険を含めることを実質的に正当化したことにならない。信用リスクの説明義務が金融商品のみに特有のリスクでないことを考慮すれば、同法上の説明義務の実質的な適用可能性に照らしても、掛捨ての損害保険を同法上の金融商品と捉えることの理論的説明は難しい。 英国においては、損害保険会社の事業免許、財務監督面では横断的な規制機関である金融サービス委員会に規制権限が与えられたが、募集規制については、同法上の規制に服する投資商品とは性質が異なるために、損害保険業界が独立の規制機関を設けて従来よりも強化された態勢の下、自主規制を行うことで合意され、2000年6月に損害保険基準協議会(GISC)が発足した。GISCは詳細なルールブックを定めると共に、前身の事業者団体(ABI)によるコンプライアンス確保策を発展的に継承し、実質的に見て相当程度に強力な規制態勢を整えている。内容的にみれば、1986年金融サービス法の下で生命保険募集に関して形成された募集規制に対応し得るルールが、より抽象的ではあるがGISCルールにも投影されており、募集機関の保険会社との法律関係を基準とするよりも、消費者に必要な情報を提供するために必要な態勢の構築に重点が置かれた規制となっている。
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