2001 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済と福祉国家再編―医療保険制度改革の比較政治学
Project/Area Number |
13720056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
大黒 太郎 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (20332546)
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Keywords | グローバル経済 / 福祉国家再編 / 医療保険制度改革 / 政党政治 / 比較政治 / 政権交代 |
Research Abstract |
本研究の初年度は、アメリカ、ドイツ、日本にオーストリアを加え、各国で八○年代から九十年代にかけて実施された医療保険制度改革の政治過程を各国の戦後福祉政策史の中に辿ることを目標としてきた。研究当初の仮説であった、グローバル化経済の進展による経済競合の激化と国家財政基盤の安定化目標という各国に共通の前提と目標は、福祉国家の基盤的な制度である医療保険制度に関して様々に異なった政策対応を導いており、この政策的な違いを生むものはグローバル化経済といった通説が用意する要因ではなく、むしろ(1)各国の戦後初期にその基礎が据えられた医療保険制度のあり方、とともに(2)各国における政権構成、すなわち社会民主主義政党が政権の中核にあるか、それとも保守系政党が制度改革に実質的に推進したのかの違い、という二点に規定されているのではないか、という疑問として問われてきた。本年度の研究では、この第一番目の論点、各国の医療保険制度改革は戦後福祉国家制度とその歴史に強く規定されていることを明らかにできたと思われる。グローバル化経済、財政基盤の強化といった各国共通の要因では政策的な差異が説明できないことが明白となった。だが、第二点の仮説、この制度改革の家庭で政党政治が果たしたと思われる規定要因は十分に確認できなかった。研究二年度となる来年度は、政権交代と福祉国家制度改革との関連を再度確認し、その上で各国の医療保険制度改革が異なった道を辿った理由を比較政治学の枠組みの中で明らかにする。なお、本年度は本研究の仮説要因のひとつである「政党政治の規定要因」に関して、直接福祉政策を扱ったものではないが「二○○○年政権交代をどう見るか?」と題する研究報告を2001年日本政治学会で行ったことを付記しておく。
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