2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13720074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 助教授 (50272414)
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Keywords | 二院制 / 国会 / 立法過程 |
Research Abstract |
まずデータベースの拡張として、第138回特別国会(1996年)以降を新たに追加、一部回次が欠損値であった委員会総理答弁を全回次入力した他、予備審査、公聴会、などの新たな変数を導入した。 当初の研究計画で挙げたテーマのうち、参議院改革を集中的に分析した。まず、全内閣提出法案の計量分析を通じて、日本の国会の両議院は審査回数などの意思表示機能においては同じで、実質修正などの立法機能については異なる。次いで各議院の審議活動水準を規定する要因を、衆議院審議、先議院審議、衆院先議法案審議に分け、それらが効果を持つ原因たる基層的要因を剔抉した。以上を踏まえ、参議院改革の処方筆(参議院先議案件の増加、後議院の審議期間の確保、予備審査制度の活用)が必ずしも有効でないこと、憲法規定が両院間の差異を生むのでないことを明らかにした。またその他のテーマに関しても、海外の文献を渉猟して理論的検討を進めると共に、議員データの入力を終え次年度に備えてある。 なお、アトランタで開かれた米国の南部政治学会に出席し、「議会内--党優位制は一日にしてならず--政府法案の個別データ(1947-2000年)に基づく日本国会の制度化--」という口頭報告を行った。通説である粘着性論においては、日本の国会は審議期間が長く審査回数が少ないとされてきたが、実際にはそれは1970年前後以降の現象に過ぎない。同様の傾向は、選択的議事手続、修正、先例形成などに即してみても指摘できる。それは1つには、占領中には日本独自の制度化が阻まれたことがある。もう1つは、自民党が一党優位体制を漸次的に形成し、国会内でも野党がそれを事実上容認していくのに符合して、粘着的な国会は徐々に構築されたことによる。
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Research Products
(2 results)