2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13730009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
河相 俊之 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (90252379)
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Keywords | 介護 / 介護保険 / 世代重複モデル / 戦略的遺産動機 / 交渉 / 二段階ゲーム |
Research Abstract |
種々の文献を収集、検討し、また研究会での発表、またモデルの改良を行い、最終的に一本の論文を公表した。そこでのモデルは、Cremer and Pestieau(1993,PF)の二段階ゲーム、世代重複モデルの形式のものに、不確実性や家庭内介護と家庭外介護という2種類の介護を導入して、主に介護保険に対して考察したものである。Sloan,et al.(1997,EI)や田近・林(1997)も参考になった。 分析結果として、介護保険の世代間ギャップが明らかになった。必ずしも介護保険の導入が老年世代にとって、効用の増加に結びつかない点である。人々は介護をする立場にある壮年期と介護を受ける立場になる老年期、ともに関連付けて行動を決定しているが、介護保険の導入に対する反応としては、介護をする立場(壮年期)を優先する可能性が大きいのである。よって、すでに老年世代である立場の者は、介護保険導入時に、介護をする立場のときのメリットを受けられないために、その導入には消極的にならざるを得ないという問題が生じる可能性を指摘できる。実際に、介護保険導入期には政治的な配慮がいくつかなされたが、そのことに対する理解が進んだと言えよう。 モデルの構築の際に、種々の仮定の変更を試すものであるが、その課程での計算等の結果から、ナッシュ的、予想の整合性について、他のモデルも現在考察中である。また、この研究の契機となった大学院生の指導に関しても、介護行動に与える税の効果の研究を指導でき、満足のいく結果が得られた。
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Research Products
(1 results)