2001 Fiscal Year Annual Research Report
外国為替市場における予測誤差とその要因に関する実証研究
Project/Area Number |
13730022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大津 武 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (10317323)
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Keywords | 金利平価 / 為替レート / レジーム・スイッチング |
Research Abstract |
13年度の研究では、まず、為替市場における金利平価説において市場期待の果たす役割の重要性を最新のデータにより確認した。拙著"Regime Shifts and Forecasting Errors in Exchangerates"(Hitotsubashi Journal of Economics, Vol.42, 2001)において、1979年第4四半期から2000年第2四半期までの円・ドルデータを用いて分析したところ、レジーム・スイッチング・モデルから計算された市場の予測誤差が金利平価の不成立を説明する要因であることが統計的に確認された。また、米ドル・独マルクについても円・ドルデータの場合と同様に市場の予測誤差の重要性が確認された。次に、円・ドルデータに関して、状態変数を増加したレジーム・スイッチング・モデルの推定を試みた。四半期・月次データについては、1980年から2000年のどのようなデータ期間を採用しても3つ以上の状態変数を持つモデルについては、信頼できる推定値は得られなかった。これらの結果より、マクロ経済データとしてしばしば用いられる四半期および月次の為替レートを利用する限り、2状態モデルが実用的であると現段階では考えられる。また、当該データについては、ギブス・サンプラーを利用した推定結果も通常の最尤法と大きな差はなかった。さらに、推定された予測誤差と日本の生産指数、輸出数量指数、マネー・サプライ、現先金利および長期国債金利などの経済変数との安定的な統計的関係は見出されていない。また、政策変更を捉えるダミー変数なども統計的有意性は低い。予測誤差の推定値とマクロ経済変数との関係をより詳細に分析するために、周波数領域への変換あるいは多重解像度解析などによる時系列データ解析を検討している。
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Research Products
(1 results)