2001 Fiscal Year Annual Research Report
連邦型財政制度下での政策決定プロセスにおける政府間の戦略的行動に関する研究
Project/Area Number |
13730027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
佐野 博之 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (60301016)
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Keywords | 課税競争 / ヤードスティック競争 / リヴァイアサン / 繰り返しゲーム / 協調的政策 / フォーク定理 / 財政的外部性 |
Research Abstract |
本年度は、連邦型財政制度における複数の地方政府間の繰り返しの相互作用に着目して研究を続けている。明らかにすべき課題のいくつかは次年度の研究に継続される。 課税競争に関する研究は、過去20年の間に数多くの研究がなされ、多くの注目すべき成果が発表されてきている。他方で、課税競争理論の多くは地方政府間の戦略的相互作用を基本において分析しているにもかかわらず、その相互関係は繰り返されることのない1期間のみのものとして扱われている。しかしながら、現実には、同じ政府同士の繰り返しの関係が税率などの政策決定に少なからず影響していると考えられる。 私は、このような観点から、地方政府(特に、リヴァイアサン政府)間で可能性として存在する無限回の相互関係を仮定して、無限回繰り返しゲームの枠組みの中で、政府の戦略的な意思決定が住民の効用に影響することを明らかにした。無限回繰り返しゲームにおいては、フォーク定理で知られるように、十分に低い割引率が政府間での協調的な行動を誘発する。特に、資本税率の協調的決定が住民の厚生に与える影響は、住民が地方公共財に対してどれほど強い選好を持つかに依存する。住民が公共財に十分に強い選好を持つならば、税率の協調は住民の厚生を引き上げる。その一方で、公共財と私的財の間の資源配分のゆがみを大きくする。ただし、私のモデルには、課税競争だけではなく、ヤードスティック競争も導入されているので、一般的なフォーク定理を適用するだけで協調の可能性と住民への影響を完全に解き明かすことはできない。 したがって、ヤードスティック競争を回避するための協調があるのかどうか、また、2つの面での協調が成立するのかどうか、さらには、それらの協調が住民の厚生にどのような影響を与えることになるのか、について明らかにすることが、次年度に継続される研究課題となる。
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