2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13730030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
城所 幸弘 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (90283811)
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Keywords | 費用便益分析 / ネットワーク / 交通 / 公共投資 / 社会資本 |
Research Abstract |
今年度は、費用便益分析の文献を詳しくサーベイし、これまでの便益評価方法をミクロ経済学的視点から検討し、理論モデルを開発した。本研究で開発した理論モデルの特徴は、主として交通に焦点を絞っており、交通ネットワークを明示的に考慮していることである。社会資本投資の中でも特に交通を選んだ第一の理由は、道路投資等の交通インフラをこれまでどおり行うべきか大きく削減すべきかに関して活発な議論があり、政策的に非常に重要であるからである。また、交通投資の便益評価に対しては、主として実務者の側から、「交通投資は『ネットワーク』の形成に資するものであり、現在の便益評価ではこの点が軽視されているのではないか?」といった根強い批判が存在する。したがって、交通投資に関して、ネットワークを厳密に定義して経済学的に検討することが非常に重要であると考えられるのが第二の理由である。 現在までに得られた結論は、どれほど複雑なネットワークであっても、あるリンクの費用の低下やキャパシティーの増加による便益は、そのリンクでの消費者余剰と混雑税収の変化に、他のリンクで発生する純混雑外部性の変化を加えたものになる、というものである。この結果は、ネットワークを考慮した場合でも、通常の費用便益分析の方法は、正確に理解して応用すれば有効であり、あらたにネットワークが生む効果等を考慮する必要がないことを示している。また、理論的な結果をもとに、実際に日本で用いられている便益評価マニュアルを分析した。その結果、現在日本で用いられている便益評価方法の一部は、経済学的に見て誤っていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)