2001 Fiscal Year Annual Research Report
日韓間の自由貿易協定に関する研究-両国の産業技術構造の比較からのアプローチ
Project/Area Number |
13730034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鄭 承衍 金沢大学, 経済学部, 講師 (10313628)
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Keywords | 日韓 / 自由貿易協定 / 経済統合 |
Research Abstract |
本年度には、日韓両国の国会図書館、各産業協会、大学図書館、民間企業への訪問を通じて集められた資料を整理することにより、両国間の自由貿易協定(FTA)の締結への動きとその課題を把握する作業を行った。 具体的に言えば、個別産業における日韓の技術構造を比較分析し、それをもとに両国全体の分業体制の現状を確認する研究を行った。すなわち、すべての製造業を日韓間の競合部門と、韓国が日本の技術に依存する補完部門とに分け、各産業・部門における両国の技術構造の類似点と相違点を明らかにした。 その結果を踏まえて考える場合、両国間でFTAを締結してより緊密な分業体制を築く上で見逃してはならないのは、いかにして量産型・装置型産業部門での生産体制を効率化し、さらに機械部品産業での技術・生産協力を活発化させていくのかという点である。 さらに、両国の政府系シンクタンクがまとめた報告書によれば、両国間でFTAを締結した場合に、純粋な自由貿易効果(関税撤廃効果)のみを見れば日本にはプラス韓国にはマイナスの影響があるだろうという点が指摘されている。しかし、FTAがもたらすその他の動態的効果、例えば投資効果、生産性増大による効率性増大効果・規模の経済効果等を含めて総合的に考えると、日韓両国ともにFTAからの利益はその費用を上回るだろうとのことがいえよう。そのため、両国政府が進めているFTA協議の場では、これらの動態的効果を高めていく方法を議論していかなければならないだろう。 来年度には、今年度に収集された産業・企業関連の資料や研究方向に基づきながら、日韓間のFTAの在り方を問うマクロ的な研究を行っていく予定である。
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