2002 Fiscal Year Annual Research Report
日韓間の自由貿易協定に関する研究-両国の産業技術構造の比較からのアプローチ
Project/Area Number |
13730034
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鄭 承衍 金沢大学, 経済学部, 助教授 (10313628)
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Keywords | 日韓 / 自由貿易協定 / 経済統合 / 技術進化 |
Research Abstract |
前年度には、日韓両国の国会図書館、各産業協会、大学図書館、民間企業への訪問を通じて集められた資料を整理することにより、両国間の自由貿易協定(FTA)の締結への動きとその課題を把握する作業を行った。 本年度には、前年度に収集した資料さらに新しく集めた資料・データをもとに、具体的な産業分析を行った。つまり、日韓産業技術構造の比較という観点から、両国間の競合部門を代表する半導体産業と補完部門を代表する工作機械産業を取り上げ、日韓間の経済協力の現状やFTA締結に向けての課題について調査・研究を行った。 その主な結果をまとめると、次の3点が言える。第1に、半導体産業においてはメモリー部門での両国間の競合は依然として続いているものの、近年のDRAM価格の急落や生産面においての後発国の急激な追い上げのため日本の大手メーカーがメモリー部門を大幅に縮小・整理しシステムLSIのような非メモリー部門に重点を移していることから、韓国のメモリー、日本の非メモリーという補完関係が成立し始めた。第2に、工作機械産業においては韓国の内需市場の拡大により韓国工作機械メーカーも質量ともに発展を遂げてきているものの、NC工作機械に含まれるNC装置のような核心部品においては韓国の日本への依存が依然として続いていることから、韓国の標準型NC工作機械、日本の高性能NC機械や核心部品という分業体制が定着した。第3に、以上の2つの産業比較分析から分かるように、日韓両国が今後FTAの締結に成功しそのメリットを十分に引き出すためには、競合部門での国境を越えての整理・合併を通じての技術革新・生産の特化をより鮮明にすること、補完部門での組立加工生産や核心的な部品供給の面で産業内分業をより徹底して進めることが求められる。 来年度には、以上の研究成果を集めて研究叢書を刊行する予定である。
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