2001 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国での中小企業育成政策における工業団地の活用に関する調査研究
Project/Area Number |
13730040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石筒 覚 高知大学, 人文学部, 助教授 (50314977)
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Keywords | 工業団地 / 中小企業 / マレーシア |
Research Abstract |
本年度の研究では、マレーシアの中小企業育成政策をサーベイし、その問題点・課題を人材育成という観点から整理するとともに、中小企業を対象とした工業団地整備の実態調査を行った。 同国で採用されてきた中小企業育成政策の柱の1つは、最終製品を生産するセットメーカーに向けた部品供給企業をそのセットメーカーの協力の下に育成する方式である。しかし、今回行った調査では、この方式がうまく機能していない状況が明らかになってきた。その原因として、大手企業と中小企業のマッチングの問題などがあげられるが、より明確なのは中小企業育成に対する政策的な意欲の低下である。マレーシア製造業では、中小企業の育成とともに、知識集約型産業の育成、すなわち、産業の高度化が主要な課題とされている。これらは必ずしも不可分ではないものの、現在では、後者により重点がシフトしているように思われる。 この要因に関して、中小企業育成に必要な人的資源の供給という観点から分析した。教育政策の状況を見ると、高等教育機関の充実・強化が叫ばれる一方、初等・中等教育については、相対的にトーンダウンした形になっている。IT産業の発展に伴い、それに見合う人材を育成する必要が出てきているが、それがイコール高等教育の充実という短絡的な結びつけ方になってしまっている感は否めない。中小企業育成に必要な人材は高等教育を卒業した者だけではないが、どのような人材が必要なのかという点での戦略がやや不鮮明である。 工業団地整備の実態調査では、1990年代後半に民間デベロッパーによって開発された団地においては、企業進出がみられた一方、準公的機関による団地では、建物やインフラなどは既に完成しているものの入居がゼロというものも、首都近郊に存在しており、すでに、中小企業向けの工業団地間で格差が出ていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)