2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13730066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 助教授 (10304924)
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Keywords | ティックデータ / 日本株式市場 / マーケットマイクロストラクチャー / MCMC |
Research Abstract |
東京証券取引証券所(東証)上場の個別株および大阪証券取引所(大証)上場の日経平均先物・オプションにおける日中の取引頻度の時間的変動特性を把握するためのモデル構築および実証分析を行った。 海外証券市場を分析対象とした先行研究では、日中の取引デュレーションをモデル化している。これは、ニューヨーク証券取引所などで取引されるティックデータが取引時間を秒単位まで記録されているからである。一方、東証・大証から得られるティックデータは、分単位でしか取引時間が記録されていない。よって、構築モデルは、取引デュレーションをモデル化するものではなく、単位時間あたりの取引頻度の変動特性をモデル化するものになった。 モデルはベイズ流に分析される。推定にはMarkov Chain Monte Carlo法を用いた。モデルに対するシミュレーションを行った後、実際のデータを用いて推定を行った。推定の結果、現在構築されているモデルは一定の説明力があるものの、取引頻度の変動特性を十分に捕らえることができないことが明らかになった。これは、日中の取引頻度の変動には季節性もしくは構造変化が存在するのに対し、現在のモデルがそれらを考慮しないものであることに起因していると考えられる。この特徴は、海外証券市場について行われている先行研究と類似している。季節性もしくは構造変化を記述するためには、Markov Switchingなどの構造変化を加味したモデル構築が必要である。今後は変動特性をよりよく説明できるモデルの構築および、推定アルゴリズムの効率化に取り組む予定である。
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