2002 Fiscal Year Annual Research Report
消費者のバラエティ・シーキング行動に関する分析枠組みの構築とその経験的研究
Project/Area Number |
13730080
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
土橋 治子 中村学園大学, 流通科学部, 助手 (90333236)
|
Keywords | バラエティ・シーキング / 継起的購買行動 / 内発的動機づけ / 外発的動機づけ / 認知的学習 / 低関与 |
Research Abstract |
今年度の研究目的は平成13年度に構築された理論モデルの経験的妥当性を確かめることにあった。バラエティ・シーキング(以下:VS)という行動を手がかりに構築されたこの理論モデルは、低関与状況下にある消費者の行動が経時的にいかなる変化を遂げていくのか、これらを行動科学的な視点から捉えようとするものである。この理論モデルは、内発的動機づけと外発的動機づけという2タイプの「動機づけ」(土橋2000;2001)、2タイプの「情報処理パターン」(土橋2003)、購買・使用経験からの「学習」、消費者の情報処理能力を示す「製品判断力」という4要因から構成されており、これらが特定の因果関係を保ちながら経時的に変化することが仮定されている。 理論モデルを構成している4つの仮説は、先行研究の経験的研究との関連においてその検証が試みられた。方法論的にいえば、既に実施されている経験的研究において、そこで導き出された肯定的結果を累積的なものとして扱うという意味で「論理経験主義」に類似している(cf.池尾1991;中西1983)。消費者の継起的購買行動をその前提としている関係上、時系列的な購買行動の変化だけでなく、心理プロセスの変化および学習の進展度といった側面をも捉えていかなければならず、その検証には必然的に膨大な時間が必要となってくるというのが、こうした立場を採用した理由である。 引用された経験的研究は、消費者行動研究における様々な研究分野に渡るものであった。仮説1については相対的な関与水準と情報処理の程度や依拠される情報源に関する研究が、仮説2については消費者の情報処理様式と事前信念との関係に関する研究が、仮説3では情報処理様式、反対仮説への抵抗、認知的学習に関する研究が、そして仮説4では認知構造、選好の安定度、エクスパティーズに関連した研究が引用されている。これらは、諸変数を本研究と全く同じに定義しているわけではない。また各変数間の関連性を直接的に扱っている研究もあれば、間接的にしか扱っていない研究も存在する。こうした制約条件のもとではあるが、これら一連の分析を通じて本研究の理論モデルは高い確率で妥当であるとの結論が導かれている。先行研究の経験的研究の結果だけでなく、実験などを実施することによって、この理論モデルの妥当性を更に高めていくことが今後の課題といえるだろう。
|
Research Products
(2 results)