2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本的企業間関係での脱系列化にみられる連結度と信頼関係のネットワーク分析
Project/Area Number |
13730082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若林 直樹 京都大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80242155)
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Keywords | ネットワーク / 系列 / 信頼 / 企業間関係 / 埋め込み / 直接連合 / 外注品質管理 |
Research Abstract |
今年度は、系列におけるネットワークの構造特性、特に直接結合の程度が高いことやそれによる企業間協力や信頼関係にある特徴について、文献研究と比較事例研究での基礎的検討を行った。ネットワークが閉鎖的であり、その紐帯の密度が高い場合については、多くの経済社会学者(Burt,2001;Mizruchi,1992)は、そこにおいて情報交換が密となり多くの他者から似たような意見を受け取る可能性が高くなるために、知識、意見、情報の同質性が高まり、規範の共有度が高くなることが指摘されている。そうしたネットワークでは埋め込み水準が高いとされ、信頼性が高くなることの確率が高くなることが指摘されている。系列関係に見られる高密度で強い結合度の固定的ネットワークでは、高い埋め込みがおきており、組織間での信頼性が高まっていたことが理解され、脱系列化での変化を検討する基盤を得た。 こうした点を日英の自動車部品産業における購買関係での外注品質管理活動の事例において国際比較分析として検討してみた(若林,2001)。それによると、英国ではそもそもサプライヤーと発注企業との間のネットワークは希薄で結合度も低かったが、産業政策により、人工的にネットワークの形成された場合には、両者の間でコミュニケーションも活発化し、埋め込みの水準を高めることが出来、ある程度当事者間に信頼性が高まった。それに対して、ある日本企業では、近年の脱系列化の中で生産系列に対する構造疲労が認識されて、むしろネットワークの解体が行われて、埋め込みの水準を全体的に低下させることがおきていた。これは、サプライヤーの信頼性の低下につながったとも考えられる。 このようなネットワークにおける密度や遷移性の影響について検討するために、東北の電機メーカー2社の生産協力会加盟企業に対して、ネットワークと協力、信頼の度合いについてアンケート調査を実施し、分析を行っている。
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Research Products
(2 results)