2001 Fiscal Year Annual Research Report
企業および組織一般における倫理的行動の促進に関する研究
Project/Area Number |
13730083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
出見世 信之 明治大学, 商学部, 助教授 (60248961)
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Keywords | 企業倫理 / 組織倫理 / 法令遵守 / 不正行為 / 企業統治 / 企業の社会的責任 / 利害関係者 / 社会的責任投資 |
Research Abstract |
企業および組織一般における倫理的行動の促進に関する内外の文献の整理を主に行い、倫理的行動に関する過去の事例を整理することを目的とした研究を行った。具体的には、企業倫理や組織倫理に関する文献に加えて、法令遵守、企業と社会との関係、企業統治に関する文献を検討した。企業について言えば、日本、アメリカ、イギリスにおいてともに企業の不正行為を防止するために企業統治への関心が高まり、「いかに取締役会を機能させるか」という問題が多く論じられていることが明らかとなった。企業倫理については、利害関係者の視点から問題が提起されているばかりでなく、倫理的に行動している企業に積極的に投資をしようとする倫理的投資や社会的責任投資が三ヶ国において増大していることが確認された。組織一般については十分に文献を収集することができなかったが、行政機関、病院、大学、協同組合などにおいて発覚した不正行為に関する記事を収集した。 事例については、倫理的行動を促進するものよりは不正(倫理的でない行動)やそれを防止するものが中心となっている。不正の背景に共通して存在するのは、利害関係者の軽視である。企業を含む組織は、内外に数多くの利害関係者を有しており、利害関係者の支持がなければ社会に存続することができなくなる。このことは、2002年に発覚した牛肉偽装事件により会社が解散することが決まったことなどによっても明らかである。本研究においては、倫理的行動を「善行」のように単純化せず、組織の利害関係者が納得できる行動としているが、事例から得られた、それを促進するための条件は、以下のようなものである。 ・組織の利害関係者に対する十分な情報提供を制度的に保障する・組織が利害関係者に対して価値理念を尊重して接する・組織が社会的な使命や創業の理念を維持する 以上の条件を仮説として、次年度においては仮説の検証作業を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 出見世 信之: "取締役会制度の意義"明治大学商学論叢. 84巻1号. 1-19 (2002)
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[Publications] 出見世 信之: "日本における企業統治改革"明治大学商学論叢. 84巻2号. 67-78 (2002)
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[Publications] 出見世 信之: "企業倫理の制度化"明治大学商学論叢. 84巻3号. 81-95 (2002)
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[Publications] 出見世 信之: "中小企業経営とビジネス・エシックス"公正取引. 616号. 43-46 (2002)
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[Publications] 出見世 信之: "コンプライアンス経営-企業倫理の視点から-"TRI-VIEW. 16巻3号. 33-39 (2002)