2001 Fiscal Year Annual Research Report
成果主義人事がもたらす時間と空間を共有しない働き方の研究
Project/Area Number |
13730099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森田 雅也 関西大学, 社会学部, 助教授 (40247896)
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Keywords | 成果主義 / 裁量労働制 / 仕事生活と仕事を離れた生活 / 自律性 |
Research Abstract |
従来、仕事は時間と空間を共有して行うものであるとされてきたが、この前提が変化しつつある。そもそも、時間と空間を共有しなければならない最大の原因は仕事が分業による協業によって成立しているからであり、同時にその成立のためには時間、空間を共有する以外は考えられなかったからである。しかし、昨今、時間的、空間的制約は徐々に取り除かれ始めている。第1に、技術の発展があげられる。通信技術等の発展は、異空間に存在する協業者があたかも同一空間にいるかの如くコミュニケーションをとることを可能としてきている。また、データ処理技術の向上は協業者間における時間、空間が異なる情報共有を可能としてきている。第2に成果主義の進展がある。年功主義的労務管理とは異なり、成果主義のもとでは、かけた時間が評価に占めるウェイトは少なくなりつつある。その最たる例は裁量労働制である。この変化は労働者が職場で時間を共有しようとする意識を低める方向に機能している。第3に、仕事生活と仕事を離れた生活のバランスが重視され始めたことである。仕事を離れた生活時間を確保するために、職場や通勤に費やす時間を効率的に利用し、仕事生活と仕事を離れた生活のあり方を自律的に設計するようになってきている。この点は欧米ではさらに強く意識されているが、家族で過ごす時間を大切にしたり、仕事と個人生活を切り離して考えるという文化、そのバランス確保のための転職が容易であるという人事管理のあり方等が影響している。 一方、スタッフ部門のホワイトカラーに限定して日々の行動について聞き取り調査を行った結果、個人で完結する業務だけを1日のある一定時間に集中させて時間的制約を取り除くことは難しいことがわかった。これはライン部門をサポートするというスタッフ部門の仕事特性上、業務を自らが完全に前もって計画することが困難であるところに由来することが確認された。
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Research Products
(1 results)