2001 Fiscal Year Annual Research Report
事業部門業績管理における活動基準原価計算及びバランスト・スコアカードに関する研究
Project/Area Number |
13730111
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松尾 貴巳 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (80316017)
|
Keywords | ABC(活動基準原価計算) / BSC(バランスト・スコアカード) / 事業部門業績管理 |
Research Abstract |
事業部門業績管理における活動基準原価計算(ABC)情報の有用性を明らかにし、また、バランストスコアカード(BSC)等戦略志向の業績管理指標の日本における有効性を評価するという目的に対し、経営管理におけて比較的先進的な取組を行っていると思われる企業を抽出しヒアリング調査を実施した。 ヒアリング対象とした企業は,ソニー,NEC(日本電気),松下電器,横河電機,日清製粉グループ本社,トヨタ自動車,富士重工業,日本たばこ等である.そのヒアリングに基づく研究実績概要は次の通りである. 株主価値,資本効率性重視の経営が重視されてきており,事業部業績管理指標にも反映される様になってきている.また連結財務諸表が制度上重視される様になり,事業部の評価も事業部関連の関係子会社を含めたものになってきている。例えばソニーにおいては,株主価値(利益)を強く反映するEVA^*指標を連結事業部(カンパニー)評価において50%割合で使用している。 業績評価に関する上述の様な考え方を強く動機付けるため,いずれの企業においても業績と報酬・昇進をより一層関連付ける様になってきている。このため本社部門から配賦される費用についても利益との関係で関心が高まっており,単なる事業部規模,負担能力の大きさでなく,サービスの提供に応じた配賦等が意識されてきている。この意味では,ABCに対する関心も高まっているといえるが,実際には導入済みの企業はなく,検討している企業は一社であった。必ずしも積極的な導入が見られなかったが、その理由としては次の点が仮説として考えられる. 事業部の本社費配賦に対する関心が高まっているが、これによりむしろ本社部門は本社機能の圧縮,外部化を積極的に進めており,その結果、追加的なコストを支払ってでも精ちな管理システムを構築しようという動機が必ずしも強くないことである。 他方,財務的な業績を重視される様になるにしたがって,中長期的な経営戦略の推進と短期的な財務指標との調和をはかろうという意識は強まっているといえる。BSCの導入を進める企業もある一方,従来からある方針管理など日本的経営の中にBSCに類似した考え方を反映させようとしている企業も見られた。 13年度は以上の様な調査研究に基き、14年度の研究に向けた仮説抽出等を試みている。
|