2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業における経営者報酬契約の仕組みと利益マネジメント
Project/Area Number |
13730117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
乙政 正太 阪南大学, 経営情報学部, 助教授 (60258077)
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Keywords | 経営者報酬 / インセンティブ |
Research Abstract |
1997年(平成9年)5月の議員立法による商誌改正決議によって、自己株式の取得規制が大幅に緩和され、有利な条件での新株発行が認められるようになった。この結果、ようやくわが国でもストツク・オプション制度(stock option plan)の活用が可能となった。これまでの経営者報酬は設員報酬や役員賞与のような現金報酬が主であったので、新たに株価ベースの報酬が追加されたことは、経営者の報酬パッケージの形態を多様化させることになる。 アメリカでは、経営者に対するストック・オプション制度の付与はごく一般的であり、報酬パッケージに占めるストックオプション報酬の割合は年々上昇している。日本でもストック・オプション制度の導入が定着しつつあるとはいえ、まだその歴史は浅く、会社がなぜ経営者にストック・オプションのようなインセンティブ報酬を付与するかを経験的に検証することはまだほとんど行われていない。そこで本年度は、わが国のストック・オプション制度導入の決定要因を調査した。 結果的に、投資機会集合の豊富な企業、会計利益のノイズが大きい企業および財務レバレッジが小さい企業ほどストック・オプション制度によって与えられるインセンティブは大きくなるという仮説が経験的に支持された。経営者の株式所有構造、意思決定計画期間問題、および財務流動性の制約は設定された仮説とは逆の結果が示された。部分的にではあれ、経営者に対する株価ベースのインセンティブ報酬は経営者と株主の間お利害の対立を縮減するために重要な役割を果たしていることがわかった。株主価値の最大化のインセンティブを経営者に植え付ける役割として、これかももストック・オプション制度はわが国の報酬構造の大きな意義をもつであろう。
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Research Products
(1 results)