2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
望月 新一 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10243106)
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Keywords | Hodge理論 / Diophatus幾何 / 楕円曲線 / 遠アーベル幾何 / クリスタリン / P進 / 双曲型代数曲線 / Teichmuller写像 |
Research Abstract |
以前から期待していた「Hodge-Arakelov理論」と遠アーベル幾何の間の「有機的なつながり」は、平成13年度になって一つの新しい理論として大きく進展し、様々な興味深い「副産物」をもたらしている。この研究の発端は、楕円曲線のHodge-Arakelov理論をDiophantus幾何に応用する上で発生する技術的な障害を解消するのに、遠アーベル幾何が有効に用いられるのではないかとの観察(平成12年度後半)である。平成13年度から、この観察を、厳密な数学的理論として定式化する作業を本格的に開始し、次のような発見に至っている: (1)この理論では、大域的な部分と局所的な部分があり、大域的な部分では、古くから知られているNeukirch-内田の定理を使うが、局所的な部分では、90年代に証明された、代数曲線に関するGrothendieck予想の、p進体版および有限体版が本質的な役割を果たすことが分かった。 (2)Grothendieck予想のp進体版を使う部分では、以前から研究していた複素数体上の双曲型曲線の'core性'が、大きく関係していることが判明した。 (3)Grothendieck予想の有限体版を使う部分では、クリスタリンな手法、特にHodge-Arakelov理論に出てくるクリスタリン・テータ対象が必要不可欠であることが分かった。なお、その延長線上にある話題として、以前から研究していたp進Teichmuller理論との関係も明らかとなり、同理論のはじめての本格的な応用も実現できた。 (4)無限素点における局所的な部分では、古典的な複素数体上のTeichmuller理論に登場するTeichmuller写像が関係しているが分かった。 (5)理論の定式化に必要な`general nonsense'として、圏論やトポス論が、従来とはだいぶちがう形ながら、有効な道具となることが分かった。
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Research Products
(1 results)