2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 毅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20273427)
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Keywords | 非可換幾何学 / ゲージ理論 / シンプレクティック多様体 / キャパシティー |
Research Abstract |
ここでは、非可換幾何学のアイデアを用いたゲージ理論を発展させることが目的である。ゲージ理論は、弦理論の枠組みで捕えることができるが、それは幾何学的な理解が可能だという点で極めて有効であるものの、多くの現象が無限次元空間として現れるので、数学的に定式化することがこれまで極めて困難であった。近年、非可換幾何学の登場により、関数解析を使った作用素解析を用いて、このような無限次元空間が少しずつ扱えるようになった。 今年度の研究は、シンプレクテイック多様体の無限増大列からなる、無限次元シンプレクティック多様体上で、弦理論に関わる不変量を構成することを試みた。一般に、有限次元シンプレクティック多様体上には、キャパシティーと呼ばれる不変量が存在するが、これを無限次元シンプレクティック多様体上に拡張することができた。一般に、無限次元空間上では、不変量を構成することだけでなく、その値を具体的に求めることも難しい。ここでは、それを求めようとしていた過程で、無限次元シンプレクティック多様体の無限小近傍という概念に到達した。一般に、無限次元シンプレクテイック多様体は、その中に非常にたくさんの無限次元シンプレクティック部分多様体を含むが、それら全体の集合に、ある同値関係を入れたものである。これは非常に巨大な空間であるにも関わらず、キャパシティーをその上で定めることにより、具体的には、無限次元射影空間、無限次元トーラス上での値を具体的に求めることが出来た。現在、その論文を作成中である。 来年度は、これに続く方向で、無限次元シンプレクティック多様体上のグロモフウイッテン不変量の構成を試みる予定である。
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