Research Abstract |
研究実績は以下のとおり. 14年度は,前年度に引き続き,subfactorから得られる3次元位相多様体のTuraev-Viro-Ocneanu不変量について研究を行った. これまでの研究成果を2編の論文にまとめた.一つは,subfactorから得られるTuraev-Viro-Ocneanu 3-dimensional topological quantum field theoryの一般論をまとめた"(2+1)-dimensional topological quantum field theory from subfactors and Dehn surgery formula for 3-manifold invariants"(河東泰之氏(東京大学),和久井道久氏(大阪大学)との共著,論文は現在投稿中)と,その論文に基づいて具体的な計算を行うための方法を記した"Computations of Turaev-Viro-Ocneanu invariants of 3-manifolds from subfactors"(和久井道久氏(大阪大学)との共著)である.後者では,コンピュータソフトウェアを用いて,いくつかの3次元多様体の位相不変量の値を計算し,レンズ空間L(3,1)とL(3,2),L(5,1)とL(5,2),それぞれを区別できることも示した.また,ポワンカレホモロジー3球面と3球面を区別することも示した. 後者の論文中で,もしもZ/7Zの対称性を持つsubfactorが存在するならば,レンズ空間L(7,1)とL(7,2)をそのsubfactorから作られるTuraev-Viro-Ocneanu不変量で区別することができるだろう,と予想した.これに関して,泉正己(京都大学)は,そのようなsubfactorの候補を与え,私と和久井道久氏とで,そのsubfactorが存在することを確認した.このデータに基づいて,レンズ空間L(7,1)とL(7,2)のTuraev-Viro-Ocneanu不変量を計算したところ,予想に反して,これらの3次元多様体を区別することができない,という計算結果を得た.一方,このsubfactorはself-dualではないことも同時にわかった.(これらの結果については,現在詳細を分析中である.)
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