2001 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元固有値問題に対する精度保証付き数値計算とその応用
Project/Area Number |
13740077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
長藤 かおり 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (40326426)
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Keywords | 精度保障付き数値計算 / 固有値問題 / 誤差評価 |
Research Abstract |
平成13年度は、まず、本研究を遂行するために不可欠な、高性能計算機による計算環境の整備を行った。DELL Precision WorkStation 530(Intel Xeon 1.7GHz)を主要設備として購入し、精度保証付き数値計算に便利な区間演算ライブラリ「PROFIL」が使える環境を整えた。これらの計算環境のもとで、流体解析において重要な2次元粘性非圧縮流体のKolmogorov問題に関する線形化固有値問題の精度保証を行った。具体的には、線形化作用素のゼロ固有値とそれに対応する固有関数およびそれらを与えるCritical Reynolds数に対して精度保証付き数値計算を適用し、それらの精度保証結果を用いることにより、ある分岐解の安定性を証明した。扱う領域のアスペクト比やReynolds数と分岐解の安定性との関係は、線形化作用素が非自己共役作用素であることから、理論的証明が困難な問題の一つである。本研究により分岐解の安定性を厳密に証明する手法が得られたため、今後、他の流体問題への応用へと発展させたいと考えている。 また、上記の研究と並行して、行列固有値問題に対する精度保証付き数値計算に関する研究も行った。具体的には、大学院の学生と共同して、非対称複素行列の複素固有対の精度保証ソルバーを開発した。このソルバーは、行列データと近似固有対を入力すると、真の固有対の存在範囲を出力するもので、特別な実行環境を必要とせずに手軽に精度保証結果が得られるものとなっている。さらに、本ソルバーを流体力学の分野でよく知られている平行Poiseuille流れの安定特性解析に適用し、対応する離散固有値問題の最小固有値の実部の符号の変化などを調べた。これらの検証結果は、もとの無限次元問題の精度保証を行う際の誤差評価において重要な役割を果たすことが予想されており、本ソルバーが有効に活用できる分野として期待している。 これら二つの研究成果をまとめたものは、それぞれ論文投稿準備中である。
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