2001 Fiscal Year Annual Research Report
非線形分散型方程式の初期値問題の可解性とその解の性質について
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13740087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高岡 秀夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10322794)
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Keywords | 非線形分散型方程式 / 初期値問題 / 適切性 |
Research Abstract |
この研究の主題は、非線形分散型方程式の非線形現象の数学解析である。分散型方程式の解において、波の分散性と非線形性の両者の釣り合い(共存)効果を調べることは重要な研究とされている。このような中にあって今年度の研究は、非線形項に空間微分を持つ空間1次元の非線形シュレディンガー方程式(derivative nonlinear Schrodinger equation)、空間2次元と3次元の非線形シュレディンガー方程式、それと非線形ザハロフ方程式(長波・短波相互作用方程式)に対して、その初期値問題の適切性が成り立つ最大の関数空間を解明する観点から非線形現象の理解を目指した。 Derivative nonlinear Schrodinger equationの場合、時間局所に捉えられている先行解の研究と併せて、いかに初期値問題が長時間に渡り適切であるかという解の延長問題が研究された。ここでは、非線形効果から誘起される波束の変調現象(周波数空間におけるエネルギー輸送)の発展を解析することから解の評価式を探り、その理論の有効性を追究することによって時間大域解の適切性を最良の形で証明した。完全可積分方程式では、ソリトン法や逆散乱法による研究法と対応づけて解析的に解けることが分かっているが、この証明法はある種の摂動項が加わって完全可積分性が壊れた場合でも有効に働くことができる。この結果は論文として提出されている。同様の考察は、空間2次元と3次元の非線形シュレディンガー方程式、非線形ザハロフ方程式に対しても検証され、更に得られた一部の解についてはリアプノフ安定性と非線形散乱理論の側面から解軌跡の構造も調べられた。詳細は来年度の成果発表としてまとめる予定である。 これらの研究を遂行するにあたって、国内外における専門家との論議が不可欠となり、その調査費として国内と国外にそれぞれ55万円と40万円が使われた。更に、消耗品として揃えた図書と文具(25万円)の支援も有効に使用されたことを報告する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Takaoka: "Global well-posedness for Schrodinger equations with derivative"SIAM J.Math.Anal.. 33. 649-669 (2001)
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[Publications] H.Takaoka: "Global well-posedness for KdV in Sobolev spaces of negative index"Electron J.Differential Equations. 26. 1-7 (2001)
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[Publications] H.Takaoka: "Global well-posedness for Schrodinger equations with derivative in a nonlinear term and data in low-order Sobolev spaces"Electron J.Differential Equations. 42. 1-23 (2001)