2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740117
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
竹内 慎吾 学習院大学, 理学部, 助手 (00333021)
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Keywords | 退化放物型方程式 / 力学系理論 / 大域的アトラクター / ギンツブルグ・ランダウ方程式 |
Research Abstract |
放物型方程式,とりわけ拡散項が解の値や勾配に応じて消滅するような方程式を退化放物型方程式という.退化放物型方程式については,解の存在や対応する定常問題個々について数多くの研究があるが,どのように定常状態に落ち着くのか,また定常解付近に初期値をとったときの解の挙動(安定性)については,あまり研究がなされていない(解の爆発問題については多くの研究がある).その理由のひとつとして,解の時間局所的な挙動をつかむための線型化の方法が拡散項の強い非線型性のため適用できないことが挙げられる. 今年度は昨年度の成果である退化拡散項をもつ実ギンツブルグ・ランダウ方程式に関する研究をまとめた論文を投稿したのち,その係数を複素数としたいわゆる(退化拡散項をもつ)複素ギンツブルグ・ランダウ方程式(以下CGLと略す)の研究を淺川秀一氏(岐阜大工)と横田智巳氏(東京理大理)とともに行った.CGLは不安定化するときの流体の変動を簡潔に記述した方程式であり,流体力学をはじめ化学反応論にも現れる.また古くから数学的研究が盛んな量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式とも似ていることから,数学的にも多くの研究がなされている.拡散項は退化拡散としたが,ラプラシアンも含んでいる. 研究は横田氏(とその共同研究者)によるCGLの解の存在に関する論文の拡張,および大域的アトラクターの存在を証明することが目標であった.妥当な係数領域における広い初期値からのCGLの解を構成することに成功した.その際解の一意性は保証されないので解作用素Sは多価となる可能性がある,メルニック・バレロによる多価な解作用素に対する力学系理論(1998)を応用し,Sの大域的アトラクターの存在を示した.この結果は現在,共著論文として準備中である.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Takeuchi, T.Yokota: "A note on stability for stationary solutions of nonlinear parabolic equations""Mathematical Aspects of Modelling Structure Formation Phenomena" in GAKUTO International Series, Math.Sci.Appl.. 17. 119-129 (2002)