2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740119
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
中島 主恵 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (10318800)
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Keywords | 非線型拡散系 / 特異摂動問題 / 特異極限 / 遷移層 / 界面方程式 |
Research Abstract |
非線型反応拡散方程式系において,拡散係数を非常に小さくすると,"内部遷移層"をもつ解が現れる.内部遷移層とは,空間内のある曲面を境に,解の値がほとんど不連続にみえるほど急激に変化している部分のことである.拡散係数を0に近づけた特異極限下では,この内部遷移層は厚さが0の曲面"界面"に収束し,もとの非線型拡散方程式系に対する解析はこの界面の挙動を記述する方程式の解析に帰着される. 本年度は数理生態学に現れる競争系とよばれる連立系について研究を進めた.この方程式系は同じ領域内で相争って生息する2種の生物の個体数密度を記述したものである.2種の生物の競争が比較的激しい場合には,競争系はいわゆる双安定型のシステムになる.本研究では競争系の界面方程式を導出し,解が形成した遷移層の動きが導出された界面方程式に支配されることを数学的に厳密に証明することができた. 特異極限における界面方程式を厳密に導出する作業は,通例,優解劣解を構成する手法を用いる.本研究もその手法に従っている.ただ,この方法の難点は優解と劣解の間隔が拡散係数を0に近づけると共に急速に狭くなっていき,そのため優解劣解ではさまれる初期値のクラスが非常に制限されてしまう点にある.本研究では,非常に広いクラスの初期値から出発した解が,きわめて短時間の間に遷移層を形成することを証明し(generation of interface),その結果,解が優解劣解に挟まれる狭い領域に入ることを示すことで上記の困難を克服する. この成果について2002年7月に研究集会「界面ダイナミクスを再現する数値解析法の開発と実験分野への応用についてII」において,また2003年3月に日本数学会年会において発表した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nakashima, K.Tanaka: "Clustering layers and boundary layers in spatially inhomogeneous phase transition problem"Ann. Inst. H. Poincare Anal. Non Lineaire. 20,1. 107-143 (2003)
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[Publications] K.Nakashima: "Multi-layered stationary solutions for spatially inhomogeneous Allen-Cahn equation"Journal of Differential Equations. (掲載予定).