2001 Fiscal Year Annual Research Report
ディラック作用素とクリフォード代数の一般化と諸分野への応用
Project/Area Number |
13740120
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本間 泰史 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50329108)
|
Keywords | ディラック作用素 / カシミール作用素 / ケーラー多様体 / クリフォード代数 / 固有値評価 |
Research Abstract |
ディラック作用素や外微分作用素の一般化である共形共変一階微分作用素を幾何学、大域解析学に応用することを本研究の目的としている。それには、ディラック作用素がそうであったように、作用素の表象が持つ代数構造から調べるべきであろう。共形共変微分作用素は直交群不変微分作用素であるが、表現論的な視点からいえば、直交群よりユニタリ群の方が簡明である。そこで、まずユニタリ群不変一階微分作用素の表象が持つ代数構造を考察した。これら微分作用素はケーラー幾何において重要な役割を果たすものである。第一の研究成果は、A型普遍展開環上のある対合的自己同型写像など用いることで、表象の代数構造を高次カシミール作用素の多項式により完全に記述したことである。この結果自体、表現論や不変式論に応用があるように思われる。第二の研究成果は、表象構造に関する結果から、ケーラー多様体上の同伴束において成立するワイゼンベック-ボホナー型公式を全て書き下したことである。応用として、様々な消滅定理やケーラースピン多様体上ディラック作用素の固有値評価および一般化を得る。第三の成果は、上記のケーラー幾何に対する考察から、当初の目的であった共形共変微分作用素の表象構造を具体的に書き下したことである(幾分改良の余地があるが)。さて、同様の考察を超ケーラー幾何や四元数ケーラー幾何での不変微分作用素に対して行うことも可能であろう。また表象構造に関する結果を用いて、不変微分作用素の零固有空間及び指数と多様体の幾何構造との関係を調べることも可能と思われる。これらに関しては現在、研究中である。
|